安倍政権は、憲法によって厳しく制限されたわが国の自衛権の限界を逸脱し、国家の基本原則を大きく変更しようとしている。それも憲法改正の手続きを経ずに、また主権者国民の意思を直接問うこともなしに。その行為は、戦後70年間にわたって綱渡り的ではあれ何とか守り続けてきた憲法前文と9条の精神を破壊するものであり、その方法において反立憲主義にして反民主主義であって、くわえてその姿勢は国民主権尊重にもとるものであり、それは戦後は言うまでもなく、19世紀後半以降わが国が築き上げてきた「近代」の矩(のり)そのものを破壊しようとするものである。

住友陽文(大阪府立大学教授・歴史学者)

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