安倍首相は2月12日の施政方針演説で「この道しかない」と叫び、「戦後以来の大改革」を断固として進めると宣言しました。とくに改革断行の最優先事項として農業をあげ、「農政の大改革は待ったなし」と力み、「60年ぶりの農協改革断行」や「農業委員の公選制廃止」、農業生産法人の要件緩和などによって企業の農業参入を進め、大多数の農家を切り捨てる構造改革を強行することを言明しました。
とりわけ、「農協改革」では、農協の事業目的から非営利規定を削除し、連合会組織や農協の一部事業の株式会社化をすすめ、農協理事会へ経営の「プロ」を導入するなど、農協組織の非協同組合化・営利企業化をねらうもので、JAグループの解体と農協の持っている資産を大企業の餌食として差し出すものです。
この「改革」は、農家や地域住民の支え合いによって農村社会の暮らしと経営を守ってきた農協の役割を否定するもので、地域の経済インフラを破壊し、雇用の喪失をもたらし、過疎化・高齢化が進む農山村をさらに疲弊させます。それは、農業生産をいっそう縮小させ、国民への食料供給をますます不安定にするものです。
そもそも、国際協同組合同盟(ICA)会長も批判するように、政府の方針を農協に強引に押しつけることは、自主的に運営されるべき協同組合の原則を乱暴に否定するものです。その影響は農協だけにとどまらず、消費生活協同組合や共済協同組合にも波及しかねません。地域の再生、格差と貧困の解決が焦眉の課題になっているいま、国連も推奨する持続的な家族農業や、その助け合いの組織である協同組合を発展させることこそ、大切にされなければならないはずです。
また、農業生産法人の資格要件を大幅に緩和して企業の農地取得に道を開く農地法の改悪や、公選制から首長任命制への転換などで「農地の番人」=農業委員会を参入企業の代理人に変質させようとする企ても許されません。
衆議院の審議を通して、政府が言ってきた「農業所得増強のため」「中央会は農協の自主性を奪っているから」という「農協改革」の理由は、参考人質疑でも公聴会でも否定されています。政府の進める「改革」は、国民の食や農業・農村を大企業の儲けのために動員し、地域経済と雇用の破壊をすすめるものであることが、審議の中でもいよいよ明らかになってきました。それにも拘わらず、数の力で強行することは許されません。
私たちは、「農業・農協改革」にストップをかけるために、「安倍政権NO!」の運動に合流します。