9条改憲の狙いは「戦争する国づくり」
安倍首相は新年早々、年内に改憲案を提出する野望を語りました。そして改憲の一番の狙いは、憲法9条を変えて日本を「戦争する国」に変えることにあります。
世界中で紛争や戦争が起こっているにも関わらず、日本は第二次世界大戦から72年間、一度も戦争をしていません。それは戦後つくられた憲法9条で「戦力を持たない」「戦争しない」と決めたからです。自衛隊はこの9条1項・2項に守られて、戦地で人を殺すことも、殺されることもなく活動していました。しかし、9条に新たに自衛隊の存在を書き込むとどうなるか。これまで効力を発揮していた9条1項・2項は死文化し、自衛隊の活動に縛りがなくなります。
しかも、改憲案で書き込まれようとしている自衛隊は、安倍政権下で「戦争できる自衛隊」に変質させられた自衛隊です。安倍政権は、2014年に集団的自衛権(他国の戦争に日本が参加できる権利)の行使容認を閣議決定しました。「集団的自衛権を行使することは、(憲法で定められた)その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」というこれまでの日本政府の憲法解釈を、たった一度の閣議決定で覆したのです。さらに2015年には安全保障法制=戦争法を強行採決し、集団的自衛権の行使を法制化しています。集団的自衛権を行使できる自衛隊を書き込むことは、憲法違反の安保法制を合憲化することにほかなりません。
戦争する準備は進んでいます。それでもまだ日本の自衛隊が戦争による犠牲を出していないのは、最後の大きな砦――憲法9条が、これらの戦争する権利の実行を押しとどめているからです。問われているのは、「自衛隊を書き込むか否か」という表面的なことではありません。9条を変えて日本を戦争する国にするのか、それとも9条生かし平和な日本を守るのかが、今問われています。
憲法守る政治に変えよう
憲法9条は、決して古くありません。むしろ、反戦平和を求めて発展している世界の流れを先取りした、先進的な条文です。
第二次世界大戦後、世界は平和の実現に向けて前進しています。戦争は違法化され、大量破壊兵器が国際法で次々禁止され、昨年は核兵器禁止条約が実現しました。世界は、まさに憲法9条の実現に向けて動いています。にもかかわらず、安倍政権はこの流れの先頭に立つどころか、核保有国とともに核兵器禁止条約に反対し続けています。 北朝鮮との関係でも、軍事的対応を選択肢に挙げて議論しているのはアメリカと日本だけです。北朝鮮の核・ミサイル開発は許せませんが、戦争を防ぐために必要なのは対話であり、武力ではありません。国際社会が一致結束して、経済制裁と一体に「対話による解決」に取り組むことが唯一の打開策です。日本が憲法9条の力を発揮して、平和のための外交的イニシアティブをとることが切実に求められています。
日本国憲法の先駆性は、憲法9条だけではありません。30条にもわたる豊かな人権規定は、私たちのあらゆる権利を保障しています。「お金の心配なく学びたい」「保育園に子どもを預けたい」「危険な原発はなくしてほしい」「普通に働いて普通に暮らしたい」――すべて、憲法を生かした政治によって実現できます。変えるべきは憲法ではなく政治です。
平和を守りたい全ての人へ。一緒に「安倍政権NO」の声を上げ、憲法守る政治に変えよう!