「東京の中心にも米軍基地がある(赤坂プレスセンター/ 麻布米軍ヘリ基地)」「首都圏上空の管制権は米軍が有しており、 日本の航空機は米軍の許可なくして飛行することが出来ない( 横田空域)」…こう云った事実をご存知の方は、 ひと昔前に比べれば多くいらっしゃるのではないかと思います。 しかし、「在日米軍の運用や処遇(殊に厚遇)は、 米軍の高級将校と日本の高級官僚による合議の場で定められる( 日米合同委員会)」…これに関しては如何でしょうか。近年、 研究や検証が進められ、 多くの関連書籍も出版されるようになったとは云え、 私たちに敢えて知らされることのない不都合な事実は、 まだまだあります。そしてそれらは、 本来なら日本で暮らす全ての人々が知らなければならないことなの です。そのシステムが放置され、 安倍晋三を宰相として頂く日本政府が容認と追従を続けるならば、 米軍の軍事演習(自衛隊との共同演習も含む) は全国規模へと拡大し、昨今の沖縄で頻発している事象が、 近い将来「沖縄県外」でも必ず起きると考えられるからです。 具体的に述べるならば、「オスプレイの墜落事故」「 米軍ヘリの民間地への不時着(大破、 炎上と云った事実上の墜落に近いものを含む)」、そして、「 米兵や軍属(軍関係者)による人身事故や凶悪犯罪」…と云ったこ とがです。2017年の暮れには、 普天間基地に隣接する小学校の校庭に飛行中の米軍ヘリから「『 窓枠』が落下する」と云う、 信じられないような事故も起きました。
「米軍の演習が全国に」 としましたが、それは即ち沖縄に偏重する「 米軍基地が在るが故の負担」 が軽減すると云うことではありません。 建設工事が進められている辺野古の新基地は軍港や弾薬搭載エリア と云った新たな基地機能を備えるもので、 先に完成した高江のヘリパッドなどとも連携して、 軍事演習の幅は格段に広がります。そして、 辺野古に出来る新施設と引き換えに返還されると云う普天間基地( 飛行場)も、実際に返還が為されるかどうかは不透明な状況です。 事実、 普天間基地では耐用年数を延ばすべく大掛かりな補修がしばしば行 なわれており、嘉手納基地では「周辺地域の騒音被害への配慮」 として(新設された駐機場に) 機能が移転されたはずの旧駐機場が、現在でも運用されています。
「基地の返還」と云うことでは、2016年に米軍北部訓練場( 沖縄本島北部の東村から国頭村にまたがる国内最大級の米軍専用施 設)の過半返還(総面積7,824ヘクタール中の4,000ヘク タール)があり、安倍首相は当時「 今回の返還は沖縄の基地負担軽減に留まらず、 跡地利用を通して地域の振興にも大きく寄与する」 などと盛んに喧伝していましたが、「過半」とは云っても、 実際には使い勝手が悪く訓練に不向きな土地をまとめて突き返され ただけのことで、2018年に入ってからは同返還地で未使用の訓 練弾や破損した備品、部品など、 米軍が投棄したと見られる大量の廃棄物が見つかっています。 また、 米軍が占有したままの土地には周辺住民の反対を押し切って新設さ れたヘリパッドなどがあるため、 北部訓練場はその総面積が縮小されたものの、 基地や演習場としての機能は格段の強化を遂げています。当然、 それに伴いオスプレイなど軍用機の飛来や大規模な軍事演習が増え る訳ですから、 結局は沖縄の基地負担はより重みを増すことになります。 安倍政権の欺瞞とは、一体如何ばかりのものでしょうか。
高江の ヘリパッドや辺野古の新基地建設に反対する住民らの抗議行動は、 共に10年以上前から取り組まれて来たものです。しかし、例えば 10年前の抗議の現場と現在のそれとでは、 決定的な違いがあります。警察などによる、 暴力を伴う介入の有無です。 それまでは中立的な立場に居た彼らですが、2014年の夏には海 上保安官が辺野古の海で、2016年の夏には全国から動員された 機動隊員らが高江の森で、その圧倒的な数と力をもって、 米軍施設の新設に反対する市民らに「安全確保」や「規制」 の名の下に襲い掛かったのです。そこにも、口では「 沖縄の皆さんの気持ちに寄り添いながら」 としながらもアメリカとの友好な軍事的同盟の維持を最優先とする 安倍政権の意向が働いていました。そして、 政権の意を汲んだ海上保安官は辺野古のカヌー・ チームのメンバーを「犯罪者!」と呼び、あろうことか高江では、 大阪の機動隊員が「土人が!」 と云う言葉を沖縄県民に対して浴びせたのです。 本当に信じ難いことです。
そんな沖縄で、この2月4日にひとつ の審判が下されました。名護市の市長選挙に於いて、 現職の稲嶺進氏が、自民、公明、 維新が推薦する新人によって三選を阻まれたのです。 市内の東海岸に辺野古と米軍キャンプ・ シュワブを有する名護での首長選となれば、当然、 辺野古の新基地建設を許すや否やが最大の争点となります。 しかし、新人候補は徹底した争点回避を図った上、 稲嶺氏との政策討論にも一切応じることなく、 自公のなりふり構わぬ集票に頼って選挙運動を展開しました。 相手候補は「国の傀儡」との誹りを免れず、稲嶺氏は、 辺野古の新基地建設を推進せんとする安倍政権の策(及び資金力) に対して後塵を拝したと云うことが出来るでしょう。 全くもって無念です。
2018年の沖縄は県外より一年先んじた 「選挙イヤー」で、11月には県知事選挙と云う、基地の島・ 沖縄の未来を左右する大型選挙も予定されています。 そこで今回の名護市長選と同じ轍を踏むことは、 最早許されません。例えあなたが、 そして私が沖縄県外に居を置く者であったとしても、 沖縄の闘いに共感し、連帯し、応援もして、 共に安倍政権に立ち向かうことは可能です。沖縄の今は、 沖縄県外の未来です。 私たちの未来を輝かしいものにするためにも、力を合わせて、 沖縄の今を輝かしいものにして行かなければなりません。 沖縄にも、日本のどこにも、米軍基地は要りません。そして、 在日米軍基地の存続を願う安倍政権も、この国には要りません。 断じて。
末筆にて、 米軍基地が在るが故に奪われた沖縄県民の命に、 心より哀悼の意を表します。蝶になったあなたたちの魂に誓って、 私たちは、決して屈しません。