ISSUE STATEMENT『ヘイトスピーチ:ファシズムと戦争に向かうヘイトスピーチを放置している安倍政権に断固「NO!」の声を!』


 2013年の初頭より、東京・新大久保、大阪・鶴橋などで行われていたヘイトスピーチ・デモに対して、多くの市民が抗議の声を上げてきました。それは、ヘイトスピーチの対象となった人々を守ることにとどまらず、この社会で人種や民族差別そして排外主義を声高に主張する人たちに対して毅然と「NO!」を突きつけるアクションでした。

 ヘイト・スピーチは単なる不快な表現ではなく、国籍、民族、性などの属性を理由に、マイノリティの人間としての尊厳を否定する言葉の暴力であり、差別や暴力を社会に蔓延させる差別煽動であり、歴史的にジェノサイドや戦争を引き起こしてきたのです。

 国内に蔓延するヘイトスピーチは、在日韓国・朝鮮の人たちを対象にしたものから、アイヌ民族、生活保護受給者、セクシャル・マイノリティー、年金生活者など、社会的弱者全てに向けられています。人間が持って生まれた「出自」自分では変えることができない「属性」を理由として、あるいは様々な歪みから生みだされた社会的弱者を差別することは許されません。そもそも社会に憎悪をまき散らし、差別を扇動する行為は、人としての尊厳を踏みにじるものであり、決して見過ごすことはできません。

 2014年8月には、国連の人種差別撤廃委員会から日本政府に対してヘイトスピーチの対策を求める勧告が出されています。

  1. 集会の場における人種差別的暴力や憎悪の煽動、また憎悪や人種差別の表明について毅然とした対処を実施する
  2. インターネットを含むメディアにおけるヘイトスピーチの根絶のため適切な対策を講じる
  3. 調査を行い、適切な場合には、そのような言動の責任の所在する組織及び個人を起訴する
  4. ヘイトスピーチの発信及び憎悪への煽動を行う公人及び政治家について、適切な制裁措置を実行する
  5. 人種差別的ヘイトスピーチの根本的原因についての取り組みを行い、人種差別に繋がる偏見を根絶し、国家・人種・民族グループ間の相互理解や寛容、友愛の情を育むための指導・教育・文化・情報発信における方策の強化を行う

 勧告は出されましたがそれ以降、安倍政権は具体的なアクションを何も起こしていません。舛添東京都知事から安倍首相に直に要請し設置した「ヘイトスピーチ対策検討のための自民党プロジェクトチーム」も12月の衆議院解散後は一度も開かれていません。

 2014年12月には、人種差別団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」が2009年に京都朝鮮学校前で行った街宣行動に対する損害賠償請求裁判の最高裁判決が言い渡されました。そこでは「人種差別扇動は犯罪である」として、1200万円を超える賠償金の支払いが命ぜられました。

 この判決を契機として、各地の議会で政府に対する「ヘイトスピーチの根絶に向けた法整備を求める意見書」等の採択が広がり、2015年6月末時点で、141の地方議会(都府県議会:19、市区町村議会:122)で採択されています。 また国会の場では超党派の「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」によって、「人種差別撤廃基本法」法案が提出されています。私たちは、法案の成立に向けた真摯な、旺盛な議論を期待しています。

 ヘイトスピーチを行う団体の多くは、歴史修正主義に基づく言動も行っています。南京事件や関東大震災時の朝鮮人虐殺などの歴史的事実をなかったことのように喧伝し、「ナヌムの家」を始めとして、慰安婦証言者に対しての攻撃なども行っています。

 私たちの国は、残念ながら人種差別による虐殺の歴史を持っています。多くの国民が反対を表明している安保法制は戦争への道を開く法案であり、「社会的弱者を排除、攻撃せよ!」と市民を煽るヘイトスピーチを放置することは、ファシズムを容認し社会の空気を戦争のための準備に向かわせるものであり、社会から根絶しなければなりません。

 日本社会に生きる全ての人々の人間的権利を守るために、国連勧告を無視し続けヘイトスピーチへの対策を放置している安倍政権に対して、断固「NO!」の声を上げていきましょう。