ISSUE STATEMENT 『原発:NO NUKES OR DIE! 脱原発か内閣総辞職か』

 2011311日の東日本大震災による福島第一原発事故により、多くの国民が原発は危険で人類には必要の無いものだと気づき、脱原発運動の大きな流れが日本全国、そして世界中で起こりました。その流れは2012年夏に首相官邸前の抗議行動に20万人が集まった事で世論として可視化され、時の民主党政権は同年の秋に「革新的エネルギー・環境戦略」において、民意を反映し「2030年代原発ゼロ」を決定、同戦略を踏まえてエネルギー政策を随行する事を閣議決定。(参考:http://www.dpj.or.jp/article/101490)。日本は日本史上初めて、脱原発に緩やかに舵をきりました。

 ところが、2012年末の政権交代で自民党が与党に返り咲き、第二次安倍政権が発足してから、この流れがせきとめられてしまいました。原発問題に関しての安倍政権の大罪は言うまでもなく「エネルギー基本計画」の改悪と言えるでしょう。2013年末に、安倍政権がエネルギー基本計画において、「原発を重要なベースロード電源に位置づける」と策定すると報道されましたが、翌年の20142月の東京都知事選で脱原発候補が立候補した事で、閣議決定を見合わせていました。し かし脱原発候補が落選した事で市民の信任を得たという曲解の上、同年4月にペンディングを解除し、国民や国会での議論もなく閣議決定。これをもって日本は再び、原発推進に戻されたのです。

 20156月現在、特に問題になっている、九州電力川内原発、関西電力高浜原発、四国電力伊方発電所の再稼働は、エネルギー基本計画の「原発を重要なベースロード電源に位置づける」という法的根拠を盾に進められています(参考:http://goo.gl/n7cb2U)。エネルギー基本計画を改善しない限り、国は次々に各地の原発の再稼働を進めるでしょう。国民の78割以上は脱原発を望んでいるにも関わらず、一部の利権や利害を優先に、安倍政権は独裁的に原発推進や原発輸出に躍起になっているのです。

 福島原発の未曾有の事故から4年。未だに事故の収束の見通しはたたず、12万人にものぼる避難者は故郷にも戻れず、十分な補償もないままです。また、安全 であるという科学的実証のないままに、原発推進のための論拠作りのため、十分な除染をしていない区域への住民の帰宅政策も進めています。事故から学ばず、事故の実態、直接的被害者の実態に背を向け蓋を閉め、原発の再稼働を進める安倍首相は、国民の幸せや真の国富をないがしろにしているとしか言えません。原発を推進するならば、まずは福島第一原発の事故を収束しない限り、いかなる論理も通用しないでしょう。

 昨年の福井地裁での「大飯原発34号機運転差止請求裁判」では、これまでは原発の訴訟で勝つ事はなかった過去の前例に反し、運転の差止を求める原告が勝訴しました。判決文は人権問題にも言及しており、真の国富とは何かを問う名文で、まさに福島第一原発事故後の、人々の原発に対する意識や事故から学んだ良心を集結させたものであり、司法がそれを代弁していると言っても過言ではない出来事でした。(参考:http://bit.ly/1p2DFBZ)安倍首相はこの判決文から学ぶべき事があるはずです。

 当面直面している川内原発や高浜原発、伊方原発の再稼働問題も、原発近隣の住民の事故時の避難に関しては確定されないまま、進められています。そもそも「避難」を想定しなければいけない事じだいが「危険である」事の証拠なのですが、せめて福島第一原発での被害者の救済を終えてからにして頂きたいものです。また台湾では原発推進派が、福島の事故があったにも関わらず日本は原発を推進している事で「安全だ」という論調で、原発現地の住民を説得してまわっているとも聞きます。原発輸出しかり、日本の原発政策は、広くアジア諸国の原発政策にも影響を与えている状況です。

 一部の人々の利権などのために、日本国内のみならず、世界を原発推進に巻き込み、広く生命の危機の種を投下する安倍首相を批判するとともに、一刻も早く原発推進をやめ人道に基づいた政治政策を執り行う事を要求します。さもなくば、安倍首相共々、内閣退陣を求める世論が強まる事でしょう。